私は網屋先生に指導していただきました。その間にたくさんの事を教えてもらい、特に印象に残っている3つの大切なものがあります。
1つめはうたごころです。先生はうたごころにあふれていて、レッスンで見ていただいている曲をご自分の声で歌ってくださったり、演奏して聴かせて下さいました。先生が弾いて下さる度に心を踊らせて目を輝かせていました。また先生が「フレーズの最後の音まで大切に歌って、最後こそ大切に!」とおっしゃっていた事は今でも弾いている最中思い出します。
2つめは楽器です。先生がご自分の楽器をとても大切にされていたことはとてもよく覚えています。先生の楽器は裏板に蜘蛛のマークが入ったあたたかい音色のする楽器でした。その楽器をどのように手に入れられ、どのようにお手入れされ、どんなに大切に思われているのかお聞きし、近くで拝見させていただいた事を鮮明に覚えています。
3つめは家族です。網屋先生ご一家は本当に素敵なご家族です。レッスンに行くと優しく出迎えて下さり、悩み事があると相談にのってくださったお母様、発表会ではいつも一緒にピアノを弾いて下さりお姉さんのようにあたたかく接してくださったゆきこ先生。レッスンの度、発表会の度に網屋ヴァイオリン教室は網屋先生とそしてご家族の皆様全員で作られているんだと子供ながらに感じていました。
先生から教えていただいた事は他にも山ほどありますが、これらの3つは大人になるに連れて特に重さを痛感した事です。先生は私が小さい頃から本当に大切な事を教えて下さっていました。網屋ヴァイオリン教室で先生とご家族のもとで音楽を学べた日々、そして自然豊かで人々があたたかい静岡で過ごし日々がなければ今の私も私の演奏もなかったと言い切れます。感謝してもしきれません。網屋ヴァイオリン教室の生徒として胸を張っていられるようにこれからもより一層努力し、日々精進いたします。またこちらの教室でヴァイオリンを学び、音楽と素晴らしさを知る生徒さんが1人でも多くいらっしゃる事をお祈りいたします。
私が太郎先生のお教室に通い始めたのは小学校高学年でした。太郎先生の門下生になってから15年程経とうとしています。太郎先生に師事する以前の私はヴァイオリンのレッスンが好きではなくやめようと思っていました。そんな中、母が街中で太郎先生にお会いし声を掛けさせていただいたことがきっかけで通わせていただくことになりました。私はその場におりませんでしたが、太郎先生が気さくに「おいでよ」と言ってくださったと母が言っていたのを記憶しております。
基礎が全くなっていない私を太郎先生は優しく時に厳しく愛情を持って一からレッスンしてくださいました。素晴らしい技術とたくさんの知識を持った太郎先生のもとで様々な作品を学んでいくとヴァイオリンの楽しさや奥深さも感じれるようになりました。弾けないことが悔しくレッスン中に泣きながら弾いていたことは今では笑い話かもしれません。太郎先生はソロだけでなく、室内楽などグループで勉強できる機会も作ってくださいました。ソロ、室内楽でそれぞれに異なった楽しさがあることを初めて知り更に音楽、ヴァイオリンが好きになりました。
音楽大学に進学し卒業した現在、ヴァイオリンのレッスンや演奏活動をする傍ら公立高校で非常勤講師として音楽の授業も受け持っています。指導する立場になったとは言え、いつまでも太郎先生の生徒ですのでお教室に立ち寄った際は温かく迎えてくださり、いつでも初心に戻った気分になります。私が太郎先生に音楽の楽しさを教えていただいたように、次は私が生徒さんや聴いてくださる方々に音楽の楽しさを伝える番だと思っています。音楽は常に人と共にあり、人生を豊かにしてくれる大切な存在です。私に関わってくださる方たち一人一人が賜物となる音楽を見つけられるように私自身日々精進していきたいと思います。
最後に益々のご発展をお祈り申し上げます。
佐藤早絵(さとうさえ)
静岡市出身。網屋門下生。
静岡英和女学院卒業。
日本クラシック音楽コンクール全国大会入賞。
NPO静岡県オーケストラスクール、アンサンブル静岡&ジュニア合奏団のコンサートミストレスを務める。
桐朋学園芸術短期大学音楽科首席卒業。学内選抜、学内定期演奏会出演。
学内オーケストラコンミス。
洗足学園音楽大学器楽科卒業。